9月29日
いよいよ手術の朝を迎えた。
前日の夜からは一切何も口にしていなかったが睡眠が取れたのかどうかも今は記憶が無い。
取りあえず頭の中は「剃毛」←何故かこの単語打ち込んでも変換されない、と「浣腸」で一杯だった。
看護師から「15:15にオペ出しの予定です」と言われた。
う~む、「オペ出し」とはコンビニなどでやる「品出し」と同じようなものだろうと想像はついた。
まあ運ぶ物が「人間」か「商品」という違いだけであとは同じようなものだし。。
朝からバタバタと点滴やら検査やらあったと思うがどのような順番だったのだろう。
ただ「浣腸」ってされるのはまあ良しとしよう(別に好きな訳ではないが)。
しかしベッドの上で横になったまま「する」と言うのは頭では理解出来ても体が自然と拒否反応を示す。
なんやかんや中途半端なままに「時間」が来た。
ベッドのままオペ室へ移動。
私は目が悪くメガネ無しでは多分0.03とかその位の視力しかない。
したがってメガネ無しになった時点でもうかなり不安感が増す。
オペ室のドアが開けられ中に。。
「寒い!」と「青い」がその瞬間感じた事。
何でこんなに温度下げてるんだろう。
さらに「青い」色のイメージが寒気を増す。
何だかぼんやりとしか見えないがやたらと人が多い気がした。
手術台に仰向けに乗っけられた私を覗き込むように「OOです」「XXです」とか挨拶されたがこちらは顔も判別出来ません。
麻酔が始まったがなかなか自分のの「感覚」を言葉で伝えるのは難しい。
麻酔医にしてみれば麻酔の利き具合は私の言葉で判断するしかないので相手も必死である。
あれは氷だったのか色々な場所に当てながら「この冷たいのは感じますか?」「1から10で言うとどの位ですか?」
感じると言えば感じるし、何かが当たっているのは分かるがそれが「冷たい」感覚なのかどうか返答に困る。
1から10と言われても多く答えすぎて麻酔が効かないのも困るし、少なく答えて余計に麻酔されるのも困るし。
このあとどんな事をされるのかももう一つ理解出来てないのでどこで妥協するかが難しい。
そのうちに足にはほとんど何も感覚がなくなった。。。
そう伝えるといよいよ開始である。
半身麻酔だったので「眠り」につくまではぼんやりではあるが自分の足が見えていた。
いきなり左足を持ち上げられいきなり「ガリガリ」音が聞こえる。
見るとまるで大根か何かを削っているかのように遠慮なく左足が「工事」されている。。。
まるで大工仕事を見ているようだ。
このあたりで口に何かを当てられ意識をなくす。。。あれ半身麻酔でも眠らされるんだ。。
目が覚めるとちょうどオペ室から運び出されるときで、この時感じたのは半端なく寒い!!」
と言う事だけ。
歯の根が合わないと言うか体中寒気で震えが止まらない。
ひたすら「寒い」事を訴えた。
先日ネットで色々な人の入院日記を見ているとやはり私と同じで「寒かった」人が結構いるようだ。
色んな管だらけでそのままHCUに搬入されたが時間を尋ねると「19時」と言う事は三時間半ほど手術にはかかった事になる。
一番パニックになったのはここからであった。
まず「痛み」、これは切り刻んだのだから痛いのは覚悟していたがそれでも痛いものは痛い。
痛み止めの薬なんぞ普段頭痛の時に飲む市販の薬ほども利かない。
さらに座薬を入れてもらったがこれもダメ。
まあ痛みに関しては自慢じゃないがかなり弱い方なので、人によっては我慢できるのかも知れない。
この痛みが来るまでは自分の下半身に「全く」感覚がなく身動き一つ取れない、これが耐えられなかった。。
背中から二本の管が入っておりそこから「痛み止め」と「麻酔?」が注入されているらしいがこの「無感覚」に耐え切れず全て「OFF」にしてもらった。
しかし結果として自分の下半身に感覚が戻ったのはそれから5~6時間後の事だった。
どんだけ強い麻酔なんや??
今にして思えばこれがもし「全身麻酔」だったら首のしたから「無感覚」が続いていたかと思うとぞっとする。
でやっと足の「感覚」戻ったかと思うと今度は上記した耐え難い「痛み」。
ここで又究極の選択である。
あなたならどちらを選びますか?
下半身の感覚がなくピクリとも動けないけど痛みも感じない状態と、メチャクチャ痛いけど感覚はあるのと。
結局は一晩中ナースコール押しまくり、背中から入ってる痛み止めのスイッチの「オン」「オフ」の切り替えをしてもらうはめとなった。
しかし看護師さんもいいかげん面倒だったと思う。
その日夜勤で一晩中付き合ってくれたSさん、ありがとうございました。
しかしこのHCUでの長~い夜を乗り切るもう一つの大きな障害に直面した。
それは「水分」、そう水である。
前日のよるから水分は一切取っておらずこれで明日の朝まで・・・と思うと我慢出来ない。
ましてや術後でかなり熱も出ており口の中は「カラカラ」である。
この窮状をSさんに訴えると水分を含ませたガーゼをくれた。
何度かガーゼを貰ううちに「悪魔の囁き」に負ける事になってしまった。
そう、ガーゼを吸って少しの水分を喉から補給してしまったのである。
今考えるとあのガーゼの「水」って飲料水を使っている訳でもないので衛生面からも問題あり、だったと思う。
しかしSさんも勘の鋭い方で「飲んだでしょ」「ハイ。。」
すぐに見破られてしまう、いや多分私と同じと事をする人がきっと多いに違いない。
Sさんからしてみれば勘、と言うよりあくまで十分「推定の範囲内」の事だったのだろう。
しかし時間が経たない、何だか10分おきに時間を訊いているような気がする。
「今何時ですか?」
「2時です」
「今何時ですか?」
「2時20分です」
朝までこんなやりとりが続く。。。